課題6-1: (情報の収集・調査・整理)
2005年6月6日 増原英彦
注: まとめ方の一例として示しますが、必ずこのようにまとめるべきだということではありません。むしろ、この例と違った独創性のあるまとめ方を好みます。また、事例は課題の中に指定されていないものをとりあげていることに注意して下さい。
事例として、ファイル交換システムにおける映像や楽曲の交換をめぐる問題をとりあげた。
- 問題の概略
- インターネットを用いたpeer-to-peerファイル交換システムによって、インターネットに接続された個人のコンピュータからも大容量のデータを簡単に公開することができるようになった。実際、日本レコード協会の2005年5月31日のプレスリリースによると、2005年1月の調査時点でファイル交換を利用した経験のある人は、インターネット利用者の 9% であり、2002年の同様の調査では6.4%だったとされているので、増加している。(増原注: これら全てが違法ではない。)同時に近年、映像や楽曲はデジタル情報として配布されることが一般的となった。これによって、著作権者の許可を得ずに映像や楽曲をpeer-to-peerファイル交換システムを通して公開したことに対する訴訟が起きている。例えばデジタルメディア協会のAMDコンテンツ白書2001にはNapsterというPeer-to-peerファイル交換システムに関する訴訟をまとめているが、それらの訴訟の理由は、Napsterを利用した著作権法に反する(とされる)ファイル交換に関するものである。
- 問題が生じた理由
- これまで映像や楽曲はアナログ情報として流通していた。アナログ情報は複製の度に質が低下するので、複製を繰り返すことは現実的でなかった。また、個人がネットワークへ接続する費用が非常に高かったので、大容量の映像や楽曲情報をネットワークを通して交換することは現実的でなかった。つまり、デジタル情報の一般化と、ネットワーク接続費用の劇的な低下が問題を生んだ。
- どのような立場の間に、どのような意見の対立・矛盾があるのか
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- 著作者側(著作者や映画・音楽産業界)からは、ファイル交換ソフトを利用した違法行為を大きな問題として捉えている。例えば日本レコード協会は、「市販音楽CD等から作成したファイルを無許諾でインターネット上でファイル交換する行為の違法性」を啓蒙するキャンペーンを行っている。
さらに一歩進めて、ファイル交換システムを作ること自体を問題視する見方もある。Winnyというファイル交換ソフトウェアの開発者が逮捕されたのはその一例である。
- 一方で、著作者の権利を守るためだけに合法で有益な利用法もあるシステム開発を規制することは、技術の発展にとって好ましくないという意見もある。
- 自分の考え
- (略)
所要時間と感想: 所要約3時間。調べてみると、いわゆる業界団体の公式な声明は「ファイル交換システムの利用が増えている」「交換されているファイルには、公開する権利がないかものもあると推測される」「違法なものは良くない」と言っているだけである。それらを並べて読むと「ファイル交換システムは違法だ」と言っているように錯覚するのだが、決してそうは言っていないレトリックの使い方が興味深かった。